イグニス　スーパー1600 '2004
（日本名 ; スイフト）
( IGNIS Super 1600 '2004 )

2003年 J-WRCクラス年間 2位を獲得した先代「イグニス スーパー1600」。
しかし、スーパー1600規定では改造回数(通称:ジョーカー)が決められており、イグニスはそれを全部使い切ってしまっていた。
ジョーカーを使わなくてもホモロゲーションに触れない範囲内であれば改造できるもののライバルであるルノ「クリオ スーパー1600」に既に遅れを取っている以上 スズキはマシンを新型に変えざるを得なかった。

そして、ベース車のホモロゲーションから取り直し、再びジョーカーの使える新型「イグニス」を投入する。
旧型に比べワイドボディとなった事により低重心化が進み、フロント部分の形状が変わった事により空力性能も良くなる。
ただ、ホイールベースが旧型と同じ長さなのに対し全長が伸びており、オーバーハングは巨大化によるコーナリングスピードの低下が懸念される。

エンジンは新型となりパワー・トルク共に向上。
トランスミッションは自社製からヒューランド製に変更され、サスペンションはレイガー製となる。

- 2004年シーズン -
ライバルは前年王者のルノー「クリオ S1600」、シトロエン「サクソ S1600」、フィアット「プント S1600」となり、ルノーとシトロエンはスズキ同様ワークス体制での参戦となる。

イグニスは開幕戦こそ苦戦するものの、新型車には付き物のメカトラブルも少なく高い信頼性を発揮する。
戦闘力は先代イグニスの終盤戦と同様に高く、強力なドライバーラインナップも合わさり、常に優勝争いを展開する。
全7戦中、優勝 5回、2位 4回、3位 3回と大活躍し、表彰台独占が 2回、1-2フィニッシュが 1回と圧倒的であった。
その中で3勝を上げたパー・ガンナー・アンダーソンが遂にJWRC年間タイトルを獲得する。
他のドライバーも年間ランキングで3,4,5位に入り、乗り手を選ばず戦闘力の高いマシンである事を知ら占める。

- 2005年シーズン -
前年から参戦体制を見直し、年間タイトルを獲得したパー・ガンナー・アンダーソン、年間 3位であったガイ・ウィルクスの2名はJWRC全戦の他に、ドライバーとマシンのレベルアップを狙い、JWRC対象外のWRCへも積極的な参戦を行う。
JWRCへはコスティ・カタヤマキとウルモ・アーバも参戦する4台体制となる。

また、後半戦より後継である「スイフト S1600」への変更が決まっており、後半戦ではイグニスはコスティ・カタヤマキとウルモ・アーバの2名のみの参戦に留まる。

ライバルは新型の「C2 S1600」を投入し、セミワークス体制となるシトロエンと、ワークス体制での参戦となった、フィアット「プント S1600」なる。

大幅な改良が行えないスーパー1600規定においてもイグニスは前年同様の強さを見せ、新型を投入したシトロエンとの激しい優勝争いを展開する。

全8戦中、優勝 2回、2位 6回、3位 3回と活躍する。
また、前半戦で表彰台独占が 1回、1-2フィニッシュが 1回と圧倒的な走りを見せるラリーもあった。

しかし、特定のドライバーが常に上位入賞する事が出来ず、「C2 S1600」の参戦したラリーでは勝利を上げる事が出来ず、戦闘力不足が露呈する。
結局、4勝を上げたシトロエンのダニ・ソルドにJWRC年間タイトルを奪われてしまう。